農業委員自ら解消 再生農地は担い手へ(桜井市農業委員会)

農業委員会が放棄地を再生

荒廃していた桧原神社前の農地
荒廃していた桧原神社前の農地

 桜井市農業委員会(杉本義衛会長)では、農地を適正管理することの理解を深めてもらうため、農業委員が自ら耕作放棄地を再生する活動を実施している。
 この活動は、日本書紀に名が残り、歴史的遺産が多く、観光客が多数訪れる「山の辺の道」周辺が、「耕作放棄によって景観が損なわれている現状を解消しよう」との農業委員の声から始められたものだ。同市農業委員会は4年間で、山の辺の道周辺の耕作放棄地43.5アールを解消した。
 2015年は、9月に三輪地区の桧原神社前にある耕作放棄地およそ18.5アールを再生した。農業委員らを中心に3日間かけて解消活動を行った結果、優良農地に生まれ変わった。
 再生した農地は農業委員会が、地域の担い手に結びつけて、再び耕作放棄地となることを防止している。
 杉本会長は「中山間部では耕作放棄地の増加が課題になっている。優良な農地を保つように広く啓発していくことで、耕作放棄地の発生を未然に防止していきたい。」と話す。

地域特産のソバを栽培

看板で2012年の取り組みを伝える
看板で2012年の取り組みを伝える
 イベントでクッキーを配布
イベントでクッキーを配布

 同市農業委員会は、耕作放棄を解消した農地の活用にも取り組んでいる。2012年に再生した農地では、地域特産のソバを植え付けた。栽培中は、耕作放棄地再生展示ほ場の看板を設置して、再生・活用に取り組む様子を伝え、収穫したソバの実は、耕作放棄地解消に向けた景観作物として栽培・植え付けを推進するなど周知活動を行った。
 ソバの実を使ったソバ打ち体験や、ソバクッキーに加工してイベントで配布するほか、一般消費者を対象にしたジャガイモの収穫体験など、農地の大切さを広くアピールする活動にも力を入れている。現在、同農地は地元の農業委員を中心とするグループに引き継がれたが、カボチャや金ゴマなどの収穫体験イベントは継続されている。
 「今後も農作物の収穫体験などのイベントを通して、収穫の喜びや安全・安心な野菜のおいしさを知ってもらいたい。少しでも多く優良農地を守る活動を続けていく。」と杉本会長は語る。

平成27年11月6日(全国農業新聞掲載)