五條市農業委員会(寺本保英会長)では、女性部が高校生と交流し地域の伝統料理の作り方などを伝えている。また、地元生協と耕作放棄地を解消し農地の有効活用を進めるなど、地域の農業の発展に努めている。
地元の高校生と交流し伝統料理指導
~委員会の女性部が活躍 将来の農業の担い手に期待~
五條市では、国営事業で中山間地の農地造成などの圃場整備を進め、条件のよい農地を作り、次代の担い手を育成してきた。市の中央部は柿や梅などの果樹栽培が盛んで、特に柿栽培は市町村単位で生産量日本一を誇る。
同市農業委員会女性部は、市立西吉野農業高校1年生と家庭科の授業で地域の特産品「柿の葉寿司」づくりを通じ、交流を深めている。
同高校は、4年制で全国から生徒を募集しており、ほとんどが県外からの進学だ。親元を離れ寮生活をしており、女性部は五條市に親しみを持ってほしいとの思いから、この取り組みを始めた。
今年6月、1年生17人を対象に料理教室を開催。授業前に、女性部5人が家庭科室で柿の葉を洗い、酢飯やサバ、調理器具などを準備した。
小原(こはら)加代子(かよこ)農業委員が調理の流れを説明し、生徒は柿の葉で具材を包み、箱に敷き詰める作業を体験。女性部メンバーのアドバイスのもと、1人3個の柿の葉寿司を完成させた。
女性部のメンバーは「これからもこの活動を継続し、生徒には将来、五條市の農業の担い手になってもらえることを期待する」と話す。
企業と連携し耕作放棄地を有効活用~ならコープ 協定結び農業参入~
同市農業委員会は、市民生活協同組合ならコープと共同で約80アールの耕作放棄地を解消し、農地の有効活用を進めている。
ならコープは2022年3月、耕作放棄地の有効活用や地産地消の推進など地域づくりに貢献することを目的に、市と「連携と協力に関する包括協定」を締結。同年7月には市内阿太地域で「ならコープ五條事業所準備室」を開き、農業参入した。
準備室の職員2人は当初、農業経験と技術について指導者が必要だったため農業委員会が協力。阿太地域を担当する北山徹(とおる)農業委員を中心に、土作りやトウモロコシ、ハクサイの栽培などを伝えた。その後、職員の栽培技術も向上し、収量・品質も良くなるなど、耕作放棄地の解消と新たな担い手育成に一役買った。
同市農業委員会では、「地域の力だけでは解決できない耕作放棄地の解消が、ならコープという組織の取り組みがあって実現できた」と話す。今後も同じような取り組みを進めたい考えだ。
(全国農業新聞 令和6年11月8日号掲載)